【開催概要】
日時:2024年12月10日(火)13:00-18:25
主催:株式会社INDUSTRIAL-X
協賛:HERE Technologies、Notion Labs Japan 合同会社、株式会社ジョイゾー、ウイングアーク1st株式会社、株式会社ドコモgacco
協力:一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会
プラットフォームパートナー:bravesoft株式会社
メディアパートナー:Koto Online、データのじかん
場所:ベルサール御成門タワー(東京都港区)
対象:企業経営者・担当者、起業家、その他(テーマに関心のある方)
今年のConference Xでは、「THE NEW MODEL of DX」をテーマに、DXに関する新しい取り組みについて各領域のプレイヤーとパブリックスピーカーを招いて討議。プラットフォーム思考で捉えるDX、製造業DXの新潮流といったテーマから、組織変革、宇宙産業、右脳とAIを用いた事業創造まで、幅広い分野におけるDXの最前線を紹介した。
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目次
- 目次
- 【オープニング】 新しいDXのカタチ
- “今回の開催テーマ、THE NEW MODEL of DX について”
- 【基調講演】 THE NEW MODEL of DX 〜 プラットフォーム思考で考える DX
- “デジタル技術の変革とデータ活用の重要性”
- “データ活用とDXの課題と解決策 ~ データの前に立ち尽くす日本 ~”
- “DXにおけるプラットフォーム思考の重要性 ~ DXの残骸 ~”
- “プラットフォーム思考の本質”
- 【パネルディスカッション①】 「次世代型製造業の未来」
- “製造業の自動化とデジタルトランスフォーメーション 〜 デジタルは手段 〜 ”
- “DXを実施しないときのリスクを認識する重要性”
- “やってみなければわからないこと”
- “挑戦し続けることによる産業変革”
- 【パネルディスカッション②】 「テクノロジーによって人の能力を最大化させる組織の仕組み」
- “ルールを壊すことによる企業変革”
- “チェンジマネジメント”
- “組織が変わり、産業が変わり、国が変わる ~ 変化を継続する推進力 ~”
- 【スペシャル対談】「変革人材としての”問う力”を養う ~ 右脳を駆使した思考の深め方 ~ 」
- “テクノロジーと人の棲み分け“
- “変革を起こすための創造性”
- “Creative Desire 〜 マインドセットの方法論 〜”
- “変革人材になるための思考の深め方”
- 【パネルディスカッション③】「シン・宇宙産業 ~ グローバルを見据えた日本の宇宙スタートアップ最前線 ~ 」
- “2040年代には年間1万人が宇宙ステーションへ滞在”
- “データという観点からみた宇宙ビジネスビジョン”
- “宇宙産業の地球産業とのシナジー”
- “何もないところに、産業を生み出す”
- 【クロージング】「セッションを振り返って」
【オープニング】 新しいDXのカタチ
“今回の開催テーマ、THE NEW MODEL of DX について”
開会挨拶では、主催者を代表してINDUSTRIAL-X 八子が、変革疲れといった「停滞感のあるDX推進」が広まるなかで、革新的な発想のもと、未来志向の取り組みを始めている企業や組織が増えてきている現状について語った。
このような背景から、今回の開催テーマで「THE NEW MODEL of DX」を設定しました。「DX」という言葉がバズワード化し、ソリューションが豊富に存在する一方で、変わらないビジネス現場や生活に対して、新しいアプローチ方法や、先進的な取り組みから我々は学び、生かすことができるのか。新しいDXのモデルをどのように捉えるのか。 それらを議論し、今、この瞬間から活用する ”気づき” を得る場として、本日は楽しんでいただきたいと、開催の言葉でカンファレンスはスタートした。
【登壇者】
株式会社INDUSTRIAL-X代表取締役CEO 八子知礼
【基調講演】 THE NEW MODEL of DX 〜 プラットフォーム思考で考える DX
本講演では、デジタル技術の変化とデータ活用の重要性を改めて説くと共に、日本における現状の課題とその具体的な解決策を示した。データ活用が進んでいない日本では、もっと「何をしたいのか」という明確なゴール設定を行う必要性があることや、「具体と抽象」に対するアプローチ方法、プラットフォーム思考の重要性や文化的背景を考慮した戦略の大切さについて語り、DXの成功にはプラットフォーム構築が必要であることを強調した。
“デジタル技術の変革とデータ活用の重要性”
デジタル技術は約20年ごとに大きな変革を迎えることから、2020年代はちょうどゲームチェンジの時代であると越塚氏は語る。今この時は、向こう20年間続くであろう「AIとデータの時代」の入り口に当たるという。 また、データの活用は経済を制する鍵であり、特にアンストラクチャー(非構造化)データの重要性が増しているという。自然言語を扱う技術が進化し、Googleのような企業が台頭したが、データの利活用はDXの推進に不可欠であり、既に多く存在している教科書的な事例を参考にすることが日本においてはまず初めのステップであり、理屈よりもまずは実践することで、新たなサービスやイノベーションが生まれる可能性があると述べた。
“データ活用とDXの課題と解決策 ~ データの前に立ち尽くす日本 ~”
日本はデータ活用が進んでおらず、「現状に課題はない」と回答する企業が多いという。「データを活用しておらず、活用の仕方もわからない。にもかかわらず、データ活用については何の障壁もない」と回答する状況に対し、越塚氏は「データを目の前に立ち尽くしているとしか言いようがない」と見る。またその原因として、デジタル技術を活用するためには、まずゴール設定が重要だが、企業は具体的な目標としての「何をしたいのか」を持っていないことが多く、それによりデータ活用やDXが進まないのではないかと言及した。
【DXに向けた、現実的な目標設定の事例】 ①「労働時間を半分にする」・・・大胆ではあるが、その目的を見据え、生産性を倍にするための方法をデジタルを活用して模索することがDXに繋がり、結果として働き方改革にもつながる。 ②「危険ドライバーを判断し、保険料を定める」・・・従来、加齢によって事故率が上がるであろうという想定のもと保険料が定められているが、車にセンサーを設置し、危険運転を実質的に感知することで、保険料を査定し、年齢に限らず、危険ドライバーかどうかで保険料を定めることができる。 ③「学校教育における理解度の可視化」・・・教員の授業精度は従来数値化しづらいが、生徒の理解度をデータで可視化することにより、教員の「授業の上手さ」を可視化することも可能。この制度によって、教員を評価するということも可能になる。
このように、やる前から諦めるのではなく、過去の前提にとらわれず、新しいデータ活用の可能性を探ることが重要である。優秀な人ほど過去の前提にとらわれやすいが、それを打破する必要がある。
“DXにおけるプラットフォーム思考の重要性 ~ DXの残骸 ~”
DXにおいて、もっとも重要なことは「プラットフォーム思考」だと越塚氏は語る。 「リンゴ畑において、日本人はリンゴの木に梯子を毎回かけて実を取るが、ヨーロッパでは、梯子をかけることが面倒なので、盛り土を作ることでいつでも簡単に実を取れる仕組みを作る」のだという。顧客のニーズをもとにしサービスを開発するというサービス思考がベーシックである日本において、ニーズはないが、まず土台を作るというプラットフォーム思考はどちらかと言えば受け入れ難い兆候があるが、様々な土台となるプラットフォームの成功事例を日本はもっと学ぶ必要があると述べた。
“プラットフォーム思考の本質”
プラットフォームとは、情報システム、ルール、プロセス、文化などの基盤を指し、汎用性や共通性を見出して個々の具体的な課題を超えて問題解決を図るものだと考えられる。そこで重要なことは「完全に同じ」ではなくても「類似」の課題に適用することができることだと越塚氏は述べた。そのようなモデルを構築するには抽象的な考え方が求められるが、日本は抽象的なモデルを考えて現実化することが苦手で、0から1を生み出す力が弱いとも語った。 「見えないものを考えて、見えないものを現実化する」ということが重要。 新しい技術は汎用技術から始まり、パソコンやインターネット、IoT、AIなども最初は仕事に使えないとされてきた。しかしそれは「汎用技術側の問題」ではなく、汎用技術をいかに自身の業務やビジネスに適応できるか(「使う側の問題」)であると強調した。 新しい汎用技術をいち早く自分の分野に適応させることが競争力の源泉となり、リスクを吟味しつつ、効率よく適用するためにはプラットフォームの概念が必要となると締め括った。
【登壇者】
東京大学 大学院情報学環 教授 越塚 登 氏
【パネルディスカッション①】 「次世代型製造業の未来」
各社が実現している製造業DXの取り組みについて、成功事例や課題について議論した。共通のテーマはDXやデジタル技術はあくまで「手段」であり、経営指標の可視化、現場との距離の近さが成功の鍵ということであった。 また、挑戦とリスク管理の重要性も強調され、オーディエンスへのメッセージとして「やってみること」の重要性が繰り返し伝えられ、デジタル技術を活用した新たな挑戦が促された。
“製造業の自動化とデジタルトランスフォーメーション 〜 デジタルは手段 〜 ”
「デジタルは手段」 各社のDXにおける取り組みの紹介から話は始まったが、3社における共通認識として、デジタル技術はあくまでも、企業の目標達成や改善活動のための手段であるという見解が示された。技術を使用することが目的ではなく、データを元にどれだけ効果的にアクションを起こせるかが重要あると語られた。 また、データを作ること自体が目的になってしまう場合があることも危惧され、人は、データの作成や管理をIT化・自動化することで業務負担を軽減し、目的に対するアクションにこそ力を入れるべきであると強調した。 一方で、デジタル云々の前に社員全体に経営意識を持たせて実践することの重要性についても岡野氏は語り、3社共に経営と現場が同じデータを見ながら、経営視点で様々な判断を下すことの重要性について言及した。
“DXを実施しないときのリスクを認識する重要性”
次の議論では、「リスク」が主要テーマとして語られた。田口氏は、様々な製造業へのインタビュー調査から、DXが成功している企業では、マーケットのニーズを正確に捉え、それが経営層の意思決定へしっかりと結びつけられていることが多いと言及し、自社の取り組むサービスが市場からどのように評価を受け、実施しないことにより自社が被る「実行しないときのリスク」を熟考し、理解しておくことが重要であると語った。また、それは新規事業だけではなく、既存事業への投資判断においても同様であると加えた。
“やってみなければわからないこと”
やらないことへのリスクについて議論が進む中、木村氏は「まずはやってみる」ことの重要性についても取り上げた。生成AIを活用して開発を行った「AIキムテツ(壇上で実際の画面を紹介)」はQ&Aとしての使い道から始まり、講演依頼に対する文章作成や新刊の目次設定など想定以上に幅を広げているが、このような使い方ができるとはやってみて気づいたことだと語った。
“挑戦し続けることによる産業変革”
オーディエンスへ伝えたいこととして、岡野氏は失敗を続けながらも挑戦することの重要性を伝えた。そして、それを許容する環境についての大切さについても語った。最後に、デジタルはあくまで技術だが、だからこそまずは使ってみて、使う中で可能性を探り、使い倒すことが重要であると、3者の経験を元にした言葉で締め括った。
【登壇者】
i Smart Technologies株式会社 / 旭鉄工株式会社 代表取締役社長 木村 哲也 氏
株式会社FAプロダクツ 取締役会長兼オーナー 田口 紀成 氏
岡野バルブ製造株式会社 代表取締役社長 岡野 武治 氏
株式会社INDUSTRIAL-X 代表取締役CEO 八子 知礼(モデレーター)
【パネルディスカッション②】 「テクノロジーによって人の能力を最大化させる組織の仕組み」
このセッションでは、登壇者各々が経験した日本企業における現場の状況を元に、日本ではテクノロジーを使った組織変革をどのように行うのか、また変革の為には、どのような考え方や人材が必要になるのか、組織戦略についても議論した。
“ルールを壊すことによる企業変革”
「日本の会社は、ルールが決まっているが、何のためにそのルールがあるのかを明確に答えることができないルールが多い」と榊原氏は語った。 これはある意味、社員をルールという枠で縛ることにより、模範的な行動をしやすい組織体制を整える環境を作っており、社員と組織が共依存することによる影響ではないかと加えた。 榊原氏自身の組織においても「自分たちで開発したものは他者には見せない」という慣習的なルールがあったが、GitHubやリアルタイムの数値情報の共有などにより、これらの文化を壊すことから始めたと話した。
“チェンジマネジメント”
一方で伊藤氏は、考え方を変えることによる変革の重要性について語った。 伊藤氏が取った手法はチェンジマネジメント。組織を変えることは大きな変化であり、抵抗する人も少なからずいる。その人達を排除するのではなく、実践していることをしっかり評価することや、DXを実施することで起きた良い変化を可視化し、組織内に丁寧に説明、伝えることにより組織全体の意識が変革されることを伝えた。
“組織が変わり、産業が変わり、国が変わる ~ 変化を継続する推進力 ~”
国を変えるためには、変化を経験した人材が他の部署や組織に行き、そこで変化を起こすというサイクルを作ることが重要であると榊原氏は語った。その為には人材の流動性を高める必要性があるという。 そして組織はそういった人材を受け入れ、活躍できる環境づくりに投資することが重要だという。日本は、ジョブロールではなく徒弟制で続いてきた組織が多く、固定的かつ閉鎖的なカルチャーやスキルセットになることも多く、それらを壊すことが重要なアプローチであると強調した。 伊藤氏は越境の重要性についても取り上げた。年齢や現在のポジションに囚われることなく、様々な刺激を得ることができる場所に身を置き、新たな考え方や知見を得ることで変化をし続ける人材となることができると語った。
【登壇者】
パナソニックコネクト株式会社 執行役員 シニア・ヴァイス・プレジデント CTO 榊原 彰 氏
人事院 人事官 伊藤 かつら 氏
株式会社INDUSTRIAL-X 事業開発ディレクター 原田 慎太郎(モデレーター)
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【スペシャル対談】「変革人材としての”問う力”を養う ~ 右脳を駆使した思考の深め方 ~ 」
現在、生成系AIを含むさまざまなテクノロジーが民主化される中、個人の「学び続け、成長し続ける」姿勢が非常に重要だということが語られた。 本対談では、人材開発と学びを通じたセルフイノベーションの重要性が強調され、テクノロジーを創造的に活用することが求められるという議論が交わされた。 企業変革には自発的な学びが不可欠であり、AIをパートナーとして、自らのアイデアをどのように形にするのかが、未来を創りあげる姿勢が鍵となると語られた。
“テクノロジーと人の棲み分け“
「今は、人間が進化するチャンスである」と前刀氏は論じた。 生成AIがどんどんと進化する時代の中で人は、AIをいかに創造的に使うことができるかということを問われていると前刀氏は言う。 AIの使い方の例として、以下の内容が挙げられた。 ① フィードバックジェネレーターとしての利用 ② パーソナルチューターとしての利用 ③ チームのコーチとしての利用 ④ ラーナー(学習者)としての利用 特に④のようにAIを学習者とし、自らがAIに教えるという行動は非常に創造性の高い領域であり、それが我々の思考力を高める大きなチャンスであると語った。
“変革を起こすための創造性”
AIの活用をはじめ、前例踏襲ではなく、新しいことに貪欲に挑戦することの重要性を前刀氏は説いた。 また、その時のマインドとして重要なことは「当事者意識」つまりは、「自分で変わる」という気持ちであると語り、自分で考え、決めて実行する人でないと変革など起こせないとアップルの「Think Different」の言葉を例えに強調した。
“Creative Desire 〜 マインドセットの方法論 〜”
AIをパートナーとして壁打ちを繰り返しながら、自身の固定観念を取り払い、新たな価値を作り、自分を越え続けていく。これらを自発的かつ好奇心を持って取り組むことが、セルフイノベーションにつながると前刀氏は語る。これらの繰り返しが、CQ(Curiosity&Creativity;好奇心創造性指数)を高め、自らが実現したいビジョンへの欲求(=Creative Desire)を高め、そのようにして未来を創りだすのだという。
“変革人材になるための思考の深め方”
前刀氏は、自らの発想を助け、アイデアの具現化をサポートするAIアプリ「DEARWONDER+」を紹介した。 AIに答えを貰うのではなく、自分の思考を深めるための対話相手とすることが新しい形であると語った。どのように新しい価値を創り、ビジネスの「NEW MODEL」を考えられる人に進化していくのか、未来を創造することにAIを活用し、自ら考えていくということが、これからは更に重要になると締め括った。
【登壇者】 ディアワンダー株式会社 代表取締役CEO & CWO 前刀 禎明 氏
株式会社INDUSTRIAL-X 代表取締役CEO 八子 知礼
【パネルディスカッション③】「シン・宇宙産業 ~ グローバルを見据えた日本の宇宙スタートアップ最前線 ~ 」
本セッションでは、「宇宙ビジネスにおけるデータ活用」、「既存産業における仕向地としての宇宙」、そして「それらの地球上ビジネスへのメリット」という3点が議論され、実際に衛星の打ち上げを控えた企業や、宇宙のビッグデータを活用した社会課題解決ソリューションの実例が紹介された。
“2040年代には年間1万人が宇宙ステーションへ滞在”
「宇宙=夢、SF映画」ではなく、今出ていかないと間に合わない分野であると白坂氏は語る。宇宙空間に人が滞在する際必要なものを供給することはもはや宇宙産業ではなく、既存産業の延長であり、これまではロケット開発や衛星の打ち上げなどいわゆる「宇宙産業」が発展してきたが、人が滞在する環境を整備するフェーズが見えてきた今、既存産業の宇宙領域への進出がさらに加速する。なお、宇宙空間は全て再生エネルギーで賄う必要があるため、究極のサステナビリティが求められる。これらはもちろん地球産業に活かすこともできることから、宇宙は地球産業における技術や発想の究極のトレーニングの場となるのだという。
“データという観点からみた宇宙ビジネスビジョン”
地球上の既存産業が宇宙上でビジネスをするためには、まずどんな製品を開発すべきなのか、宇宙環境におけるデータを取得することが第一歩であるとispace氏家氏は語る。同社は、顧客の製品を一緒に月空間に持っていき、月空間におけるデータを取得するというプロジェクトを進行している。また衛星データなどをもとに、地中に埋まる水道管の老朽化を予測するビジネスを展開する天地人百束氏は、これらのサービスを現在日本に向けて展開しているが、ゆくゆくは海外に向けても進出予定だという。宇宙ビジネス関連は地球外の環境が関与することが多いため、前提として国内外の境目を超えて海外とのコラボレーションも検討する必要があると加えた。
“宇宙産業の地球産業とのシナジー”
宇宙産業の分野で発展した技術は、当然、地上においても活躍すると白坂氏は語った。 宇宙のデータをそれだけで捉えるのではなく、地上のデータと組み合わせることで新しいビジネスチャンスが生まれる。建築、食料生産、製造など難易度の高い宇宙で実現する為の技術を活かすことで解決できる社会課題は多くあり、農業変革やメンテナンス変革など多くのビジネスチャンスがあることを百束氏は伝えた。アクセルスペースホールディングス宮川氏が強調したのは、宇宙産業における裾野を広げるということだ。アジアの新興国に対して衛星製造のノウハウを展開することでビジネス自体を拡大し、そこに対して様々な産業の宇宙領域進出を支えていくことが重要と話した。
“何もないところに、産業を生み出す”
月には産業がなく、今まさに国をあげて作られようとしている。長い年月をかけて発展してきた地球産業と比べて、宇宙領域においては、技術・データの活用による新たな産業構造の構築が可能だと白坂氏は語る。異なる領域にチャレンジする3社においても、1社で取り組むのではなく、様々な産業とのコラボレーションが今後の宇宙産業の発展につながると語り、翻ってそれらが地球産業の変革にも寄与すると締め括った。
【登壇者】
株式会社天地人 取締役副社長・CSTO 百束 泰俊 氏
株式会社ispace CTO 氏家 亮 氏
株式会社アクセルスペースホールディングス 執行役員 / CIO & CDO 宮川 祐吉 氏
應義塾大学大学院 教授 白坂 成功 氏(モデレーター)
【クロージング】「セッションを振り返って」
クロージングで八子は、それぞれの講演・セッションを振り返った。 ビジネスを推進する手段は、決してデジタルだけではない。もし、新しいアイデアが出てこないのであれば、もっと右脳を活用して考え、クリエイティブに将来の産業の姿や変革、未知なる宇宙について議論を交わしていく。既存の固定観念に縛られずにビジネスを創っていくことの重要性や可能性について語った。 日々の取り組みの中で、新しい想像力を発揮することを願っていますと伝え、カンファレンスを締め括った。
【登壇者】
株式会社INDUSTRIAL-X 代表取締役CEO 八子知礼
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